元MDZAOメンバーから見た「カブアンド」の可能性とリスク

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ZOZOTOWN創業者の実業家、前澤友作氏(以降、前澤さんと書きます)が新たに始めたサービス「カブアンド」が話題になっています。

インターネット上での広告宣伝やトークコンテンツに加えて、テレビCMも始まっています。前澤さんと明石家さんまさんという珍しい組み合わせなので、覚えている人も多いのではないでしょうか。

私は以前、「MZDAO」という前澤さんの運営する有料コミュニティに初期メンバーとして参加していました。カブアンドの立ち上がりの雰囲気は、MZDAOのそれと重なる部分を多く感じます。

今回は、そんな「カブアンド」についての可動性やリスクについて、元MZDAOメンバーの観点も混ぜながら書いてみたいと思います。カブアンドってどうなの?と思っている人に参考になると幸いです。

目次

カブアンドの仕組み

カブアンドの仕組みを簡単に言うと、このようになっています。詳しく知りたい方は公式サイトの内容や目論見書をチェックしてみてください。

  • カブアンドのサービスを使うと株引換券がもらえる
  • 有料プランに登録すると株引換券がより多くもらえる
  • もらった株引換券はいずれ株と交換できる
  • 株の価値は株式市場への上場前にならないとわからない
  • 株式市場への上場時期や上場できるか否かはまだ分からない

現時点で対象になっているサービスは次の通り。公共料金や回線といった毎月必ず発生するインフラ系のサービスがメインとなっているようです。

カブアンドの可能性とリスク

では、このカブアンドは今後どうなっていくのでしょうか。まず可能性の方から考えてみたいと思います。

「前澤さんが出がける斬新なサービス」という魅力に加え、積極的な広告宣伝により、相当な人数を集めることができそうです。少なくとも、数十万人を集めたMZDAOは超えるはずです。

また、カブアンドが提供するサービスが「切り替えても影響なさそう」かつ「使い始めたらすぐには解約しない」ものが多く、安定した売上や利益に繋がりやすいため、株の価値向上という点ではプラスなのかなと思います。

利用者として考えてみた場合ですが、「普段使っているサービスをカブアンドに切り替えるだけ」という手軽さは大きいです。支払い金額はほぼ変わらないのに、株引換券がもらえる。ちょっと得した気分になりますよね。

じゃあ、みんなカブアンドをすればいいじゃん。となりそうですが、そうではなくリスクの部分も少なからずあると私は考えています。

現時点で多くの人たちが指摘していますが、私もいくつか気になる点があります。

  1. 本当に上場できるの?
  2. 1株あたりの価値はいくら?
  3. 株引換券を何枚で1株に交換できるの?

カブアンドの売りは、サービスを利用することで上場前の非公開株を持てる(持つ権利を得る)ことです。なので、最終的に日本の株式市場に上場できない限り、株を持っていても儲かることはありません。

私が一番ありそうだなと思っているのが、最終的に上場できなかったというパターン。これだけの株主がいると、反社チェックをはじめとした、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備は至難の業なのではないでしょうか。

MZDAOが立ち上がった時も、事業をどんどん立ち上げて日本一大きな会社を作ろうといった雰囲気でした。ただ、最終的には事業は始まらず、ただの巨大な有料サロンのようになってしまいました。(もしかすると、今はそうではないのかもしれません。)

利用者数も増え、売上も増え、有料会員も増え、運営会社(カブアンドピース)としては儲かっているけど、株主は儲からなかったという結果にだけはならないで欲しいなと思っています。

株引換券と株の交換比率が決まっていない点も、利用者からするとリスクだなと感じます。有料会員になってたくさん引換券をもらったとしても、交換比率が低いとあまり意味のないものになってしまいます。

サービスを利用し続けて株引換券を大量に持った利用者が納得できるような交換比率にできるのかどうか。ここでひと悶着あるような気がしてなりません。

まとめ

ここまでに、カブアンドの可能性とリスクについて私の意見を書いてきました。内容を簡単にまとめると次のようになります。

  • カブアンドを使うリスクは低い。その代わり使うメリットも少ない。
  • メリットが小さい理由は、上場時の1株あたりの価値が不明なこと。時価総額を大きく考えたとしても、そこまで高いものにはならない。
  • リスクが低い理由は、直接お金を払って株を買うわけではないから。株の価値が0円になったとしても利用者の直接的な損失にはならない。

私個人はあまり積極的におすすめはしませんが、「国民総株主」というコンセプト自体はとても好きですし、今まで誰もやったことのないことにチャレンジする前澤さんの姿勢も尊敬します。

カブアンドについて書かれた本が12月に発売されます。本の購入で株引換券がもらえるので、興味がある方はまずこの本を読むところから始めるのが良さそうです。

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